新バフン紙N
手紙は一枚の紙から始まります。そしてその紙には一つひとつ名前があって、厚みやかたさ、色味の種類があります。私たちが製品をデザインするとき、紙の銘柄を選ぶのはとても重要な工程です。どんなテクスチャ、手触りを持った紙か、厚さや色は適切か、慎重に選びます。なぜなら、それらは書き心地、読み心地を左右するからです。
私たちはBirds Are Dinosaursシリーズに箔押し・エンボスという加工を施しました。その意図は、より華やかに飾りつけたいということではなく、その紙だけが持っている特長を引き出し、書き手の想像力を掻き立てることにありました。例えば、こんな筆記具で書いたら良さそうというイメージがわいてきたり、◯◯さんの雰囲気にぴったりだなと書きたい相手が思い浮かんだりというような。
便箋と封筒には新バフン紙Nという紙を使用していますが、この紙は短く小さい繊維が散りばめられており土壁のような見た目で、ガサガサした手触りです。箔押しをすることで、金属のツルツルと正反対のガサガサした表情が際立ちます。
ガサガサしているというと粗暴なイメージがありますが、なぜかふかふかと柔らかさも感じられ、とても軽いというのがこの紙の面白いところ。封筒のエンボスの盛り上がって丸みを帯びたところを見ると、その不思議と優しい雰囲気を感じていただけると思います。
人間の頭や心の中がとても複雑であるように、紙にもいろんな面があります。手紙の土台となる紙の複雑で面白いところをよく理解し、引き出して、この紙で手紙を書いてみたい!とワクワクしてもらえるようなレターセットをこれからも作っていくので、気になるものが見つかったらぜひ試していただけたらうれしいです。